社会保険料の標準報酬月額とは?決め方についてまとめました。

毎月給与から差し引かれている「健康保険」や「厚生年金保険」の金額はどうやって決められているのか、疑問に思ったことはありませんか。これらは「標準報酬月額」から算出されています。その「標準報酬月額」についてまとめました。

標準報酬月額とは?

標準報酬月額とは社会保険料(健康保険・厚生年金保険)の計算に必要なもので、報酬額によってランクのようなものが決められています。従業員が受け取る、毎月の給与や交通費などから、どのランクにあてはまるかが決定します。

ランク例(2018年度7月現在)
東京の会社で働くAさん28歳
基本給28万円+交通費1万円の場合

健康保険料27,720円、厚生年金保険料51,240円となり、これを会社とAさんで折半した金額が給与から差し引かれます。

ちなみに雇用保険料については毎月の報酬額に雇用保険料率を乗じて計算するので、このランクは関係ありません。

ではどのようにしてランク決定がなされるのでしょうか?主なものを見ていきましょう。

資格取得時

新入社員が入社した時や、今まで雇っていたアルバイト従業員の労働日数・時間が増え条件に該当した時などは社会保険に加入しなければなりません。その加入資格取得時に決定されます。

新入社員は、過去の報酬はありませんし、残業時間の予想もできないでしょう。よって雇用した時の雇用契約内容や通勤交通費を確認して、標準報酬月額を決定します。

定時決定

毎年一回、決まった時期(7月1日~7月10日)に従業員の標準報酬月額を見直します。これを「定時決定」と言い、この手続きにあたり提出する書類の名称より算定基礎届と言われています。

算定基礎届では、4月・5月・6月に支給した報酬の平均額を標準報酬月額のランクにあてはめて決定します。ここで決まった額はこの年の9月から反映され、この後に記載する「随時改定」の手続きをしない限りは、翌年の8月まで使用されます。

算定基礎届は、例えば会社に役員が一人しかいない場合、去年と役員報酬が変わっていないから提出しなくてよいというわけではなく、毎年7月1日時点での役員も従業員も含め社会保険加入者の全員が対象となります。

提出の際には、給与だけではなく、残業手当や通勤手当も対象となりますので注意しましょう。

随時改定

基本的には年一回の定時決定により決まった標準報酬月額は、翌年の定時決定までそのままですが、報酬額に大幅な変動があった場合になされる改定を「随時改定」と言います。

今回は細かな内容は省略しますが、随時改定の主なポイントは

  • 標準報酬月額が2等級以上変動した場合に対象
  • 残業手当等(非固定的賃金)のみが変動する時は対象外
  • 定時改定と随時改定は、定時改定を優先
  • 変動月から数えて4か月目から社会保険料の金額を変更

必ず年一回行う定時改定とは違い、報酬額の変動などあった際は改定し忘れに注意しましょう。

まとめ

これまで説明した以外にも、育児・産前産後休暇終了時の改定もあります。

標準報酬月額の決定は従業員に適切な社会保険料を負担してもらうための重要な会社の業務の一つです。どの従業員が対象なのか?対象となる報酬は?新たに社会保険に加入した中小企業などは届け出一つとっても悩む場面も多々あるかと思いますが、誤りや漏れのないよう、正しい知識をもって期限内に提出できるよう心がけましょう。

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